AIVtuberの技術と市場動向
はじめに
AIVtuberとは、人工知能(AI)によって制御されるバーチャルタレントのことです。対話型AIを搭載して、雑談やゲーム実況などの配信を行います。
これまでのVtuberは
- 視聴者とのコミュニケーションやエンターテイメントを提供する
ことが主な視聴者に対する主な役割でしたが、
AIVtuberの場合は少し異なりこれらが開発されている目的として、以下のものが主となっている部分が一つの大きな違いとなっています。
- AI技術の発展や普及を促進する
- AIの学習や成長を見守る
どんな仕組みで動いているのか
既存のVtuberはイラストの立体的な表現を可能にして、自由に動かすことができるlive2Dモデルという仕組みを活用しており、ライブ配信者の顔の情報を追跡(トラッキング)してlive2Dモデルを動かしています。
それに対し、AIVtuberはテキスト・音声と同期させて口元を動かす技術を使ってlive2Dモデルを動かしています。
例えば、「こんにちは」という音声からは笑顔でこんにちはと話している口の動きが推測できます。この技術はリップシンクと呼ばれ、live2Dモデルに口パクさせていると考えて貰えると分かりやすいと思います。
具体的な仕組み
- Youtubeから視聴者のコメントを取得
- 取得したコメントをopen aiなどの大規模言語モデルへ送信して、適切な回答を取得
- 回答を取得したら、それを元にして音声生成AIへ送信して音声ファイルを取得
- 音声ファイルを元にしてlive2Dに口パクをさせた動画に音声を重ねて視聴者に配信
- (1に戻る)
という手順を繰り返し行われています。
現在どのようなサービス・会社で活用されているのか
株式会社Pictoriaは、AIを主軸としたテクノロジーでVTuberを運営する企業です。
Pictoria所属のAI VTuber「紡ネン」は、ゴールデンウィークから24時間配信を開始し、今年8月には25日間(600時間)配信を行い、81万人に視聴されるなど、有名VTuberを凌ぐ数字を叩き出し、AI VTuber初の登録者数7万人超えを達成しました。
また、PictoriaはAI VTuberで得られた技術やノウハウをNFT事業に活かすことで持続的な成長・発展につながると考え、NFTプロジェクト「NEN STUDIO」も7月より始動させました。当プロジェクトは多くの支持を得て、日本1位の流通量を記録、1体23ETH(500万円)超の取引も発生しています。
今後活用が期待される分野・業界
AIVtuberは、人間の配信者と比べて、以下のようなメリットがあります。
- 長時間や連続的な配信が可能であること
- 言語やジャンルに制限されないこと
- 学習能力や成長性が高いこと
- コストやリスクが低いこと
これらのメリットを活かして、ビジネス分野でAIVtuberを活用する方法は以下のようなものが考えられます。
- エンタメや教育などのコンテンツ制作や配信
- マーケティングや広告などのプロモーション活動
- サポートや相談などのカスタマーサービス
- データ収集や分析などのリサーチ活動
これらの分野では、AIVtuberが視聴者やユーザーと対話したり、感情や個性を表現したりすることで、魅力的で効果的なコミュニケーションを実現できると考えられます。
また、AIVtuberはNFT(Non-Fungible Token)というブロックチェーン技術を利用したデジタルアートの分野でも注目されています。NFTは、デジタルコンテンツに所有権や希少性を付与することで、価値を高める仕組みです。AIVtuberは、自身のキャラクターや配信内容をNFTとして販売したり、NFTをモチーフにしたコンテンツを制作したりすることで、新たな収益源やファン層を獲得できる可能性があります。
技術スタック
AIVtuberを実際に始めてみたい方や、もう少し詳しく仕組みを知りたい方向けにAIVtuberの配信環境を構築するためのコードを紹介します。
https://github.com/pixiv/ChatVRM
https://github.com/StarmiyaMiyuki/aituber-demo
https://github.com/ponlponl123/-Prototype-AIVTuber
引用・出展
株式会社Pictoria、2.2億円の資金調達完了。AI VTuber×NFTプロジェクト加速に向けて採用強化|株式会社Pictoriaのプレスリリース (prtimes.jp)